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飛び石はコーティングでは防げない|原因・対策・補修方法を解説
カーコーティングを検討している方の中には、「飛び石から塗装を守れるのか」「コーティングを施工していれば防げるのか」と気になっている方も多いのではないでしょうか。
特に近年は、ガラスコーティングやセラミックコーティングに対して「傷防止」「塗装保護」といった表現を見かける機会も増えており、飛び石対策として期待されるケースも少なくありません。
しかし実際には、どのようなガラスコーティング・セラミックコーティングでも、飛び石を防ぐことはできません。
そこで本記事では、飛び石が発生する仕組みや、コーティングで防げない理由を整理しながら、飛び石対策や補修方法について解説します。
なお、本記事の内容は、ガラスコーティング・セラミックコーティングなど、現在主流となっている硬化型コーティング全般に共通する考え方となります。
この記事の要点
飛び石対策について考えるうえで、押さえておきたいポイントは以下のとおりです。
- どんなに高性能なガラスコーティング・セラミックコーティングでも、飛び石を防ぐことはできません。
- 飛び石は、高速走行中に前走車のタイヤが跳ね上げた小石によって発生し、コーティング層だけでなく塗装そのものが欠けるケースも多くあります。
- コーティング被膜は約0.001mm前後と非常に薄く、飛び石の衝撃を物理的に防げる厚みではありません。
- 飛び石対策としては、車間距離を十分に空けることや、ダンプカー・トラックの後方を走らないことが重要です。また、高速走行を避け、速度を抑えることも飛び石リスクの軽減につながります。
- 飛び石から塗装を物理的に保護したい場合は、プロテクションフィルム(PPF)が有効です。
飛び石はなぜ発生する?
飛び石は、走行中の車のタイヤが小石を巻き上げることで発生します。特に高速道路では、路面に落ちている小石や、タイヤ溝に挟まった小石がタイヤの回転によって後方へ弾き飛ばされることで発生します。
また、後続車も高速で前進しているため、飛んできた小石に対して自車も高速で向かっていく状態となり、小さな石でも非常に大きな衝撃エネルギーが発生します。
そのため、飛び石はボンネットやフロントバンパー、フロントガラスなど車両前方に発生しやすく、塗装が欠けたり、ガラスにヒビや傷が入ってしまうことも少なくありません。
実際の飛び石では、
- コーティング層
- クリア層
- ベースカラー
を貫通し、下地まで見えてしまうことも多くあります。
このように飛び石は、日常的な走行環境の中で発生する、非常に衝撃エネルギーの大きい物理的ダメージとなります。

コーティングで飛び石が防げない理由
ガラスコーティングやセラミックコーティングには、「傷防止」「塗装保護」といったイメージを持たれることもあります。しかし実際には、どのような高性能コーティングでも、飛び石を防ぐことはできません。
その大きな理由の一つが、コーティング被膜の薄さです。
一般的なガラスコーティング・セラミックコーティングの被膜は、約0.001mm(1μm)前後しかありません。これは髪の毛の太さの約1/70程度であり、ほとんど人の目では認識できないレベルの薄さです。
以下の画像は、イギリスのカーケアブランド GTECHNIQ(ジーテクニック)が公開しているコーティング被膜の顕微鏡画像です。実際に見ると、飛び石を物理的に防げるような厚みではないことがイメージできると思います。

つまり、飛び石によるダメージは「コーティングが弱い」というよりも、高速で飛んでくる小石の衝突エネルギーそのものが非常に大きいことが原因です。
そのため、コーティングの本来の役割は、汚れの付着を軽減したり、洗車傷をつきにくくしたり、塗装の艶感やメンテナンス性を向上させたりすることにあります。飛び石のような強い物理ダメージを完全に防ぐものではありません。
飛び石対策として重要なこと
飛び石は日常的な走行の中で発生するため、完全に防ぐことは簡単ではありません。しかし、走行環境や運転方法を意識することで、ある程度リスクを軽減することは可能です。
特に注意したいのが、ダンプカーやトラックの後方です。こうした大型車両は、タイヤに小石を巻き込みやすく、高速走行時には後方へ小石が飛びやすくなります。
また、高速道路では車間距離が近いほど飛び石を受けやすくなるため、前走車との距離を十分に空けることも重要です。
さらに、速度が高くなるほど小石が衝突した際のエネルギーも大きくなるため、速度を抑えることも飛び石リスクの軽減につながります。
ただし、こうした対策を行っていても飛び石を完全に防げるわけではありません。特に高速道路を頻繁に走行する車両では、ある程度の飛び石は避けられないダメージとして考える必要があります。


飛び石から塗装を守るならプロテクションフィルムが有効
飛び石によるダメージから塗装を守りたい場合は、ガラスコーティングやセラミックコーティングではなく、プロテクションフィルム(PPF)の施工が有効です。
PPFは、ポリウレタン素材で作られた透明な保護フィルムであり、塗装を物理的に保護できることが大きな特徴です。
一般的なガラスコーティング・セラミックコーティングの被膜は約0.001mm(1μm)前後ですが、PPFは約150μm前後の厚みがあり、コーティングの約150倍程度の厚みがあります。そのため、飛び石や擦り傷が直接塗装へ到達しにくくなり、車両前方を中心に高い保護効果を発揮します。
特に、
- フロントバンパー
- ボンネット
- フロントフェンダー
- サイドミラー
など、飛び石を受けやすい部分への施工は非常に効果的です。
また近年は、透明タイプだけでなく「カラープロテクションフィルム(カラーPPF)」も人気が高まっています。カラーPPFは、塗装を保護しながら車両のカラーチェンジも行えることが特徴です。一般的なカーラッピングでも色変更は可能ですが、主な目的はデザイン変更となるため、飛び石や擦り傷に対する保護性能はPPFの方が大きく優れています。
さらに、カラーPPFは施工後の質感が純正塗装に近く、肌感が自然に仕上がりやすいことも特徴です。近年ではスーパーカーや高級車を中心に施工台数も増えており、「保護」と「ドレスアップ」を両立できる選択肢として注目されています。
一方で、PPFはコーティングと比較すると施工費用が高額になりやすく、車両全体へ施工する場合は数十万円以上になることも少なくありません。そのため、車種や使用環境によっては、飛び石を受けやすい部分のみへ部分施工するケースも多く見られます。


飛び石の補修方法|タッチペンについて
飛び石によって塗装が欠けてしまった場合は、タッチペンによる補修が一般的です。
車用のタッチペンは、Amazonや楽天などでも購入でき、価格は500〜1000円前後が中心です。購入時には車両カラーに合った製品を選ぶ必要があり、カラーコードは運転席ドア付近などのコーションプレートへ記載されていることが多くあります。
また、タッチペンには筆タイプのキャップが付属していることが一般的ですが、飛び石補修の場合は広く塗るよりも、傷部分へピンポイントで少量ずつ塗布した方が綺麗に仕上がりやすくなります。

より綺麗に仕上げたい場合は、「ファインラインペン」と呼ばれるツールを使用する方法もありますが、簡易的に補修したい場合は爪楊枝などでも代用可能です。
特に白やシルバー系カラーは、一度で色が乗りにくい場合もあるため、2〜3回に分けて薄く重ね塗りしながら乾燥させると自然に仕上がりやすくなります。
また、コーティング専門店へ施工を依頼する際に飛び石が気になる場合は、事前にタッチペンを用意して相談しておくことで、下地処理の工程時に補修を行ってもらえるケースもあります。
なお、フロントガラスの飛び石についてはDIY補修が難しく、無理に作業するとヒビが広がるリスクもあるため、目立つ場合は専門業者へガラスリペアを依頼することをおすすめします。

※爪楊枝でも代用は可能
まとめ
飛び石は、高速走行中に前走車のタイヤが巻き上げた小石によって発生する、非常に衝撃エネルギーの大きい物理ダメージです。
そのため、どのような高性能なガラスコーティング・セラミックコーティングでも、飛び石を完全に防ぐことはできません。
一方で、コーティングには、汚れの付着軽減や洗車傷の軽減、艶感やメンテナンス性の向上といった役割があります。
また、飛び石から塗装を物理的に保護したい場合は、厚みのあるプロテクションフィルム(PPF)が有効です。
飛び石は完全に避けることが難しいため、車間距離や走行環境を意識しながら、必要に応じてタッチペン補修やPPF施工を取り入れていくことも重要になります。
カーコーティングとPPFは、それぞれ役割が異なります。飛び石対策を考える際は、「何から塗装を守りたいのか」を整理したうえで、自分の使用環境に合った方法を選ぶことが大切です。

佐久間 陽平|株式会社insieme 代表取締役
2019年より海外カーケアブランドの正規輸入事業を開始。
現在はヨーロッパを中心に20以上のブランドを取り扱う、日本最大級の海外カーケア通販サイト「arinomama(ありのまま)」を運営。
ドイツ・イギリス・スウェーデンなどの最新カーケア製品・技術を日本市場へ導入し、製品選定・検証・販売まで一貫して手掛ける。
東京都内でカーディテイリング専門店も運営し、施工現場で得た一次情報をもとに、コーティング・洗車・メンテナンスに関する実践的な情報を発信。