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カーコーティングの傷防止効果|
効果の限界と正しい考え方

カーコーティングを検討する際に、「コーティングで傷は防げるのか?」と疑問に思う方は多いのではないでしょうか。

結論から言うと、どのようなコーティングであっても深い傷を防ぐことはできません。しかし、日常的に発生する洗車傷や細かな薄キズについては、コーティングの種類や品質によって軽減することが可能です。

また、同じコーティングであっても、施工する塗装の状態や種類によって結果が変わる点も見逃せません。さらに、コーティングの性能によって「傷のつきにくさ」には明確な差が出ることも重要なポイントです。

そこで本記事では、コーティングによる傷防止の考え方を整理しながら、なぜ傷が軽減されるのか、そしてコーティングの違いによってどのような差が出るのかを解説していきます。

この記事の要点

コーティングによる傷軽減について、押さえておきたいポイントは以下のとおりです。

  • 洗車傷や細かな薄キズについては、専門店によるプロコーティングによって軽減することが可能です。塗装表面を保護し、さらに滑り性が向上することで摩擦を抑え、日常的に発生する薄キズの軽減につながります。
  • ただし、コーティングを施工しても、擦り傷や深い傷を防ぐことはできません。コーティングの被膜は約0.001mmと非常に薄く、物理的なダメージを完全に防ぐことは難しいため、あくまで保護には限界があります。
  • 傷のつきにくさはコーティングの種類や塗装本来の硬度(密度)によって大きく異なります。
  • GTECHNIQ(ジーテクニック)などの高品質なプロコーティングは、密度や滑り性に優れており、傷の発生を抑えやすい傾向があります。特に長期間にわたってその性能が維持される点が、簡易コーティングとの大きな違いとなります。

コーティングで傷は防げるのか

コーティングで傷は防げるのかという疑問に対して、結論から言うと、日常的に発生する洗車傷や細かな薄キズについては、コーティングによって軽減することが可能です。

車の塗装は非常に繊細で、一般的には鉛筆硬度で2H程度とされています。これは人の爪と同じくらいの硬さで、鉛筆やシャープペンのHBの芯よりもやや硬い程度のイメージです。

そのため、ボディに砂埃や汚れが付着した状態で触れるだけでも、簡単に細かな傷が入ってしまいます。こうした日常的な接触によるダメージに対して、コーティングは表面の滑り性を高め、摩擦を軽減することで、傷の発生を抑える効果が期待できます。

ただし、ここで重要なのは、すべての傷を防げるわけではないという点です。

コーティングの被膜は約0.001mmと非常に薄く、人間の目ではほぼ見えないようなレベルの薄さです。よって、飛び石や強い摩擦による擦り傷など、いわゆる“ガリ傷”のような物理的ダメージに関しては防ぐことはできません。

つまり、コーティングは擦り傷を防ぐものではなく、洗車傷やマイクロファイバークロスによる拭きキズなど、日常的に発生する軽微なダメージを軽減するためのものと考えるのが適切です。

コーティングの種類で変わるキズ耐性

前のセクションで解説した通り、コーティングは洗車傷などの細かなダメージを軽減することが可能です。

ただし、その効果はどのコーティングでも同じではありません。実際には、コーティングの種類によってキズのつきにくさには明確な差が出ます。

コーティング未施工
9Hセラミックコーティング
GTECHNIQセラミックコーティング

上記は同一条件で擦り傷テストを行った際の比較ですが、未施工や一般的なコーティングと比べて、高品質なコーティングほど傷の発生が抑えられていることが分かります。

この差が生まれる理由は、単純な「硬度」だけではありません。

コーティングは「9H」などの硬度で比較されることが多いですが、実際の使用環境では、それだけで傷のつきにくさが決まるわけではありません。重要なのは、被膜の構造と表面特性です。

GTECHNIQ(ジーテクニック)などの高品質なコーティングは、塗装と強く結合し、表面の密度を高めながら硬化することで、より滑らかで摩擦の少ない状態を作ります。

この滑りやすさによって、洗車時や拭き上げ時の引っかかりが減り、結果としてキズが入りにくくなります。つまり、コーティングによるキズの軽減効果は、硬度の数値だけでなく、被膜の密度や滑り性といった性能によって大きく左右されます。

コーティングで小傷は自己修復するのか

コーティングの中には、「自己修復機能」や「セルフヒーリング」と呼ばれる性能を備えた製品も存在します。ただし、ここで注意したいのは、コーティングによる自己修復は万能ではないという点です。

自己修復といっても、深い傷や擦り傷が元通りになるわけではありません。修復できるのは、あくまで極めて微細な洗車傷程度に限られます。

また、この機能は何度でも繰り返し使えるものではありません。傷が入った際にコーティングに含まれるポリマー成分が作用することで、傷を目立ちにくくする仕組みのため、同じ箇所で繰り返し傷が入ると、修復効果は徐々に期待しにくくなります。

そのため、自己修復機能はコーティングの主性能というよりも、あくまで補助的な効果として考えるのが適切です。

特にセラミックコーティングは、無機質な硬化被膜を形成するものが多く、構造上、自己修復には限界があります。自己修復技術は、どちらかというとPPF(ペイントプロテクションフィルム)の分野で活発に開発されている機能です。

PPFは有機質のフィルムで構成されており、微細な傷が入った際に、熱や光の影響によって表面が元の状態に戻ろうとする性質を持つものがあります。

一方、セラミックコーティングは硬化した無機質被膜であるため、PPFのような自己修復性を大きく期待するのは現実的ではありません。

また、自己修復機能を持たないコーティングであっても、非常に浅い薄傷であれば、塗装自体が熱によってわずかに元の形状へ戻ろうとすることで、傷が目立ちにくくなるケースもあります。つまり、コーティングによる自己修復は「傷が完全に消える機能」ではなく、極めて軽微な洗車傷を一時的に目立ちにくくする補助効果と考えるのが良いでしょう。

洗車キズがついた場合の対処法

コーティング施工後に傷が気になる場合、根本的な解決は研磨によって薄キズを除去するしかありません。洗車キズは塗装表面に生じた物理的なスクラッチであり、コーティングやケミカルで消すことはできないためです。

ここで重要なのは、研磨を行うとコーティングも同時に除去されるという点です。コーティングは極めて薄い被膜のため、研磨によって必然的に削り取られます。その結果、コーティングは一度リセットされ、再施工が前提となります。

施工後に仕上がりが気になった場合や、下地処理が不十分だったケースでも同様です。後から磨いて調整すればコーティングは落ちてしまうため、結果的に施工をやり直すことになります。

つまり、コーティング前の研磨の完成度が仕上がりを左右します。

また、どれだけ高品質なコーティングでも、洗車キズの蓄積を完全に防ぐことはできません。重要なのは、汚れた状態で触れないこと、適切な洗車を行うことです。洗車方法については、以下のコラムでも解説しています。

▶︎ コーティング車の正しい洗車方法

なお、艶に優れたワックスや簡易コーティングなどで傷を目立ちにくくすることは可能ですが、あくまで見え方の改善であり、傷が消えているわけではありません。

まとめ

コーティングは飛び石や擦り傷といった深いダメージを防ぐことはできませんが、洗車傷のような日常的に発生する微細なキズについては軽減することが可能です。

その理由は、コーティングによって塗装を強化し、さらに滑り性が向上することで、汚れと摩擦によるダメージが抑えられるためです。ただし、この効果は単純な硬度だけで決まるものではなく、塗装の性質やコーティングの性能によって大きく左右されます。

また、同じコーティングであっても施工する塗装の状態によって結果は変わるため、下地処理の精度が仕上がりに直結する点も重要です。

一方で、傷が気になる場合の根本的な解決は研磨となり、その際はコーティングが除去されるため再施工が前提となります。つまり、施工後に調整するのではなく、施工前の仕上げとその後の扱い方が重要になります。

コーティングは傷を完全に防ぐものではなく、傷がつきにくい状態を作り、適切に管理するためのものです。この前提を理解したうえで選ぶことが、後悔しないコーティング選びにつながります。

佐久間 陽平|株式会社insieme 代表取締役

2019年より海外カーケアブランドの正規輸入事業を開始。
現在はヨーロッパを中心に20以上のブランドを取り扱う、日本最大級の海外カーケア通販サイト「arinomama(ありのまま)」を運営。

ドイツ・イギリス・スウェーデンなどの最新カーケア製品・技術を日本市場へ導入し、製品選定・検証・販売まで一貫して手掛ける。

東京都内でカーディテイリング専門店も運営し、施工現場で得た一次情報をもとに、コーティング・洗車・メンテナンスに関する実践的な情報を発信。

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